5/16-17、26、29-30

5/16
Coffee &Bake achoo!(阿佐ヶ谷)
ルアンダ 中深煎り
やや甘めの香り。チョコレートか、それとも果実っぽい甘味か、判断つかない。これまであまり香りに意識が向いていなかったなと思う。
嚥下後の苦味がまろやかで、印象に残る。冷めてくるとこのまろやかさが崩れて(この味が崩れる、という言い方はシーシャ屋で頻出する語彙で、それはいろんな嗜好品にも適用できる感覚語彙であることに最近気づいた)、もわっとした、若干物足りなくも感じる風味に。とはいえ、飲みやすいテクスチャーになったとも言えて、それは雑味がないということでもあるだろう。一方で、酸味は比較的あとまで楽しめた。
蔵前に打ち合わせにいってひと段落したので、西川幸治『仏教文化の原郷』を読む。古い本の復刊。玄奘の旅行記のかいつまんだ要約、学術的な成果をベースに説明していく部分、とりたてて面白い内容とはいえない。ただ、今年に入ってからずっと視聴し続けている佐々木閑のYoutubeチャンネルで「仏教再発見の旅」というシリーズがあって(このシリーズだけでも約140本の動画がある)、その講義を思い出しながら読み進められる、という楽しみがあった。佐々木さんのすぐれたストーリーテリングと批判精神、ご本人のかわいげ、そして仏教者として生きる喜びや人間に対する優しさに満ちた講義はコロナ禍を機会として生まれ、そして2024年の今なお、数日に一本のペースで動画がアップされている。
西川さんの本に戻るが、付録として3本の短い記事が入っていて、最後に2001年のターリバーンによるバーミヤーン大仏の破壊について触れている文章がある。1930年代にフランスの発掘隊が石窟から削り取ってカーブルとパリの博物館に持ち出した壁画があり、しかしそのおかげで、70年後の難を逃れたという。皮肉なことだが、西欧諸国の探検隊による考古学的な研究への貢献、そして歴史的な遺物の実物の破損や実地からの盗み出し、その功罪という二分的な構図からこぼれ落ちるエピソードとして、貴重なものだと思った。

5/17
化粧品のいくつかの残量が終わりかけているのを、使う量を減らしたりしながら耐えて、それが限界になってきたので吉祥寺のロフトで一式揃えに行こうと家を出たら、結城さんが既に吉祥寺のシーシャ屋にいるとのこと。自分もパソコンを持っていたので、二人で『ab-』の素読みをしながら校正作業を進めることに。
SHISHAPOND、自分は初めてのお店で、ホワイトボードで目についたマスカットティーのフレーバーをオーダーした。アールグレイとグレープフルーツをミックスしてくれて、自分の基準だと少し重ためだったが美味しく吸える。吸い口は使い捨てじゃない金属製ので、吸うと口唇を通してボコボコ振動が伝わった。結城さんのキウイバジルミントも吸わせてもらったら、これも後味がすっきりしていて、鼻に抜ける美味しさ。コーヒーもこだわってるし、あと店内BGMがいい。Daichi YamamotoとかBESとかfebbが、よくわからないごちゃごちゃの順番で流れる。校正もスムーズに進んで、全体の半分ほどの指摘出しを終える。
その後南口で、これも美味しいフローズンヨーグルトを食べて解散。晴れてる日に歩くとこんないい街もないという話をしたが、本当にその通りだ。

5/26

西荻窪Singで作業の詰め。インド、お代わりで穀物コーヒー。
今月は途切れなく仕事を振ってもらえていて嬉しい。ただ、お金は不安だ。毎月コンスタントに仕事が入る、あるいはまとまった量の仕事が入ってくるとは限らない。遊びにかけるお金を年明け以降、じょじょに切り詰めている。しかし、切り詰めて遊んだところでなんになるのだろう。蕩尽してこその人生、と教えてくれたのがストリップなのではないか。

5/29

身支度をしながら、佐々木閑『仏教再発見の旅』シリーズ、全141回を見終わる。午前中はMLBの試合結果も気になったりしてて、流し聞きしてる部分も当然あるけども。
このシリーズの白眉は第120回。19世紀末のインド考古学界に激震を走らせた、フューラー博士による仏舎利や仏塔の発見捏造についての結末が語られる。ブッダの生地であるルンビニー(と推定される場所)の発掘競争で功を焦ったフューラーは、ありもしない発掘報告の偽造に次ぐ偽造を重ね、ついに学芸員としての全ての名声を失う。彼はセイロンに渡って仏教僧になると告げ、その後歴史の舞台から姿を消すのだが、佐々木さんはフューラーさんはそれによって、初めて仏教と出会うことになる、フューラーさんと仏教との縁起がそこで生まれるのだ、という。もう人生どうにもいかなくなって死ぬしかない、そういう状況に陥った人のために、ブッダの教えはある、と。フューラーの物語を模範とした仏教説話としても非常に説得的で、また佐々木さんの人間の生に対しての優しい視線の向けようが、強く表れている箇所だろう(もっとも英語版のWikipediaを読むかぎりでは、フューラーはスイスに帰ってカトリックに改宗し、その地で亡くなったらしい)。
先週、吉祥寺の千日で買った『フランス植民地主義の歴史』、面白い。読みながら寝る。

5/30

Coffee &Bake achoo!(阿佐ヶ谷)
エチオピア 中浅煎り
いつも出しているエチオピアとはちょっと違うやつとのこと。香味はパンチがある。口に含むと、引き締まった果実感。味覚でいうと、酸味よりもしょっぱさをやや覚えるような。嚥下後はコクがあって、でもしつこくなく楽しんで飲める感じだった。
新宿のジルスチュアートに買い物に行って、ひどいハズレ接客のBAを引いてしまった。Googleレビュー書き込んだろかなと思うのってこういうときくらいで、大変感激したとかならともかく、そんな書くほどなのか、という瑣末なレビューを投稿する人の心の動きって一体どうなってるのか。

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