230808

久々に一日予定を空けられる日。栗橋か、はたまた同じ方向の足利か。どこからともなく「遠征って劇場に行くだけじゃないんですよ」、とお告げが聞こえてきたので後者のルートを採り、足利市立美術館に巡回している「顕神の夢」を見に行くことに。

習慣で宇都宮線を使いそうになるが、東武線の足利市駅にたどり着くほうが遥かに時間のロスが少ない。それもそのはず、小山から乗り換えて足利に向かう両毛線の路線図は西に伸びている。同じ方向とは言ったものの、足利に行くのにJR線を使う経路だとこう(北に)行った後こう(西に)、とえらい遠回りなのだ。足利市駅からは市内円環バスでわずかひと駅、渡良瀬橋を横に見ながら数分で美術館に到着。

鎌田東ニの監修、名指しえない超越的ななにかしらの表現が、「霊性」のキーワードのもとにキュレーションされている。とはいえ、展示の全体を通して意味性から全く引き剥がされてほっぽり出されっぱなし、ということはない。非合理的で直接的な経験の表現には、神仏や天使といった宗教的シンボルがしばしば伴う。作品の脇にはキャプションのほか、作家の著書などから引かれた、展示作品と関連性のありそうな内的な(神秘)体験にまつわる文章が、ガイドラインとして添えられている。

上田葉介の絵画群は、実直ともいえる反復で表現されるパターンの積み重ね・ささえ合いが、抽象的な力動を伴ってこちらにアクチュアルに届く。ストリップの踊りという現在の関心事と最も重なって見えてきた展示はこれだったように思う。平野杏子による『善財南へ行く』の、プログレのジャケみたいな仰々しさと寒色の塗りが織りなす奇怪な光景も、このキュレーションの中では随分とポップに感じられて楽しく観た。

2時間とかからず見終わってしまったので、足利駅に向かって史跡をほっつき歩く。行きがけのタピオカ屋に入ると今日が開店4周年だそうで、ドリンクもフードも400円均一。自分のあとに高校生二人組が入ってきて、いつまでもメニューを選びかねていた。店主のオンニは私と同年代だろうか。待ってる間おやつ食べてていいからね、クロッフルのチーズ炙っとく?と気さくに声をかけてくれて、こういうときは自分も学生に戻ったような気分になる(Teenage Vibeずっと持ってる)。満足して帰路でGoogleレビューを見たら、客層は疲れた高校生だらけ、陰気な顔でタピっている、などと書かれていた。

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