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不要不急のなんたらの雪、というほどでもなく、風もそこまで冷たくないっぽい、と確かめて、歩き出した。今年はとくに天候がおかしかったから、寒暖に関してなにか麻痺しているところがある。傘をさすのに、ずいぶん久々に手袋をはめた。去年の末から動いている近所の工事現場の誘導員が、リズミカルに向きを変えながら、「今日は芯まで冷えやすくなっておりますよ、あ~ぁ」「日本人バカだからこういうときに限って外を出歩くんだよなあ。バカタレが」と、通り過ぎた人だけが聞こえるくらいの声量で喋りつづけていた。夜、千葉さんの悪口は言語の喜びの本質なのだろう、というツイートを見かけて、いいねを押した。
高円寺に新しくできたカフェ、NEYOで作業をした(PKPすぐ近く)。「顔晴れ(太陽の絵文字)」、という意図のとれないLINEが送られてきたのでGoogleで調べると、歌手のLiSAがまだ無名の頃のツイートが出てきた。顔晴るでがんばる、と読むらしい。知らなかった語彙。こういう造語にせよ標語みたいなもんにせよ、度を越してプラス思考の言い草を人びとが臆面なく口にするようになったのって、やはり震災以降なのだろうか。結城さんがすぐに2007年のインターネットでの「顔晴れ」の用例を見つけてくるが、そこではすでに人口に膾炙しているかのような書きぶりがなされていた。これ以上「顔晴れのアルケオロジー」を遡ることに、大して意味がないのをふたりとも気づいているから、話題はまた別のこと、谷中の、めちゃくちゃ口の悪いらしい中華店店主のことに移っていった。

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