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イケメン通りの、閑古鳥の鳴いている友誼食府を出てARTBOXに向かっていると、焼肉を焼いているのではなさそうな、煤っぽい匂いがしてきた。左手の建物から煙がもうもうと上がっていて、十人くらいの人だかりができている。名前は覚えていないが、あのビニールカーテンが貼ってある屋台のお店だ。店の中は電気が消えていて、誰もいない。お休みなのに小火が?と思ったがそんなわけはなくて、避難し終えたお客さんや従業員たちがあの人だかりをなしていたのだろう、とあとになって認識し直す。
昔通っていた韓国語学校の近くにあるカフェで、三時間作業した。入るときに三人の女の子たちとすれ違い、え~あたしここでバイトしたいんだけど、と言っていてなんだろうと思ったが、入店すると長髪イケメンのバイトがいるから、とすぐに分かる。確かに、これくらい顔のいい人だとプレゼンスの重みがある。ほぼワンオペでホールを回していて、しんどくないかなとか、自分まで目の端で追ってしまっている。
しばらくして、四人組の女子大学生グループが入ってきて向かいのテーブルに座った。二時間くらいの間、顔のいい異性の話など一切せず、ずっと原神だのスイカゲームだの麻雀だの、ゲームがどんだけおもろいかの話ばかりしていた。

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